理事長ブログ

2026年10月10日 フィールドスタディ

今年の兵庫県立大学大学院経営専門職専攻の医療・介護マネジメントコースの院生は、医療マネジメントコース10人、介護マネジメントコース6人です。

9月19日に社会福祉法人恩賜財団福井県済生会病院、9月26日に医療法人共和会小倉リハビリテーション病院、10月3日に公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院、そして10月10日が私の担当でした。

福井県済生会病院の齋藤事務局長には9月3日の青年福祉施設経営研究会にもお越しいただき、お客様の声、従業員満足度調査、表彰制度など、顧客と職員を大切にしていることをお話しいただきました。参加している勉強会のメンバーは共感する部分も多く、刺激になったとのことですが、メンバーたちを見ているといつも刺激になり、気付きも多いと話しているのですが、それを自組織に取り入れるにはどんな行動が必要かというところまで消化できず、いつの間にか熱が冷めてしまうのが残念です。

小倉リハビリテーション病院の浜村名誉院長は、体調がすぐれない中、しっかりと理念と実践、地域ネットワークのお話をお伝えいただき感謝申し上げます。院生たちに先生の思いが何らかの形で財産となると信じています。

私の講義は、10時に六甲道駅集合後、小規模保育事業ちいさなCOCORO、六甲道COCOROと灘在宅福祉センター、琵琶COCORO保育園、琵琶ちいさなCOCOROを見学していただいた後、ロングステージ御影に移動、13時~17時まで講義を行いました。

いつものように資料や決算書、決算分析を事前に送付して、質疑応答形式で実施しましたが、貝瀬先生、井出先生、武地先生、木下先生、丸山先生のほか、小山秀夫先生にもご参加いただき、いつものことですが院生よりも私が緊張する場になりました。

特に小山先生からは、先生から見た私や当法人についてお話いただき、先生との掛け合い漫才もできましたので、刺激と緊張の中に笑いのある楽しい講義となりました。院生16人に対して教授陣は6人ですから、院生にとっては充実した時間ですが、今年の院生はどこまで資料を読み込んできたのか、決算分析などをどこまで理解してあの場に臨んでいるのか、少し疑問でした。たぶん深く読み込まずに参加していたのではないかと思われます。

添付は、毎年資料でつけている、日本経営の門原君が作成してくれた決算ハイライトです。生々しい数字が並んでいますが、社会福祉法人の決算は福祉医療機構のWAMネットに開示されていますから隠す必要はありません。院生には卒業時には、これくらいの分析ができるようになっていることを求められています。ご興味のある方は、ぜひMBAコースを受験ください、お待ちしています。

今回の私の講義の中で、印象に残っているのは、「リーダーシップをどう表現するのか」という質問でした。「理念や思いを実現できる行動力と周りを巻き込む力、それを支えるメンタリティ」とお伝えしました。やはり何かを成し遂げるためには行動が必要で、その行動を支えるメンタリティは重要ですね。素晴らしい理念や理想は語れても、行動できないのではただの評論家ですから。

もう11回目の講義になりますが、自分のやってきたこと、やっていることを客観的に評価することはなかなか難しいです。

友人でもある兵庫県立大学社会科学研究科准教授の丸山洋三先生からフィールドスタディの感想として以下のメールをいただきました。

先週末はお忙しい中、4回にわたるフィールドワークの最終訪問先として温かく受け入れていただき、本当にありがとうございました。エリアの複数保育園の見学、そして先生直々のご講義は、大変勉強になり、とても有意義な時間でした。

講義では、行政を「提案・交渉する顧客」と捉える視点(自治体ごとの温度差のお話も含めて)や、AIの取り組みと制度変革への意気込みなど大変面白かったです。
そして、大規模社福のマネジメントを、介護・障害・保育と部門別、さらに施設別にまで徹底された手法でコントロールされていることに感銘を受けました。人口動態を見据えながら「3期連続赤字」といった撤退基準を明確に設けている一方で、現場職員の思いや地域の事情、競合状況をしっかり勘案して最終判断を下されている点は、現場を担う社会人学生にとって経営のリアルを知る素晴らしい学びになったはずです。さらに、小山先生の貸借対照表の重要性を指摘された点も非常に刺さりました。

トップやミドル層のリーダーシップにおける「行動の持続性」の大切さは、MBAで学んだことを現場でどう形にしていくか悩む学生たちに、強い行動力を印象付けてくれたと思います。個人的には、外部の話を貪欲に聞いて即座に実践へと活かしていく先生のバイタリティ、そして社会貢献の家業としての「福祉への回帰」という理念に深く心を打たれました(以前、中辻さんの書籍を読んだときと同じような深い感銘を覚えました)。

一方、少し残念だったのは、せっかく小林先生が施設別損益などのエクセルまで見せてくださり、シートを分けて解像度を絞り、赤字を色付け・可視化されていたのに、学生たちから「その課題に対して具体的にどうメスを入れていったのか」という泥臭いプロセスの部分まで深く切り込むまでの質問が出なかったことです。そこを掘り下げてこそ、トップが経営管理で何を考えているのかが見えてくると思いますし、医療現場での病棟別・診療科別管理会計などにも通じる「ベースのマネジメントは同じ」という本質に気付けたはずだと感じています。

ほかの訪問先でも思ったのですが、素晴らしい組織を見学すると、いわゆる「出羽錦」(済生会福井では理念型経営が素晴らしかった、小倉リハではリハの源流に触れられた、鶯園では卓越したリーダーシップに感激した、といった「〜では」で終わる話)のように、単に感銘を受けて終わりになってしまいがちです。自組織に立ち返ったときにこの知見をどう活かすのか、そこへ接続させるのが私の役目だと感じました。

そこで、大学院が掲げる「理論と実践の融合」を果たすためにも、今回先生から惜しみなくいただいた情報や部門別・施設別のセグメント会計の学びを、小山先生のご指摘にあったような資産の意識付けなどと結びつけ、「実態把握能力」を高めるセグメント別ROAといった管理会計手法などを今後の授業でしっかり学生たちに落とし込んでいきたいと思います。

改めて、貴重な学びの機会をいただき本当にありがとうございました。
引き続きよろしくお願いいたします。

丸山 洋三

とのこと。

過分なお褒めを頂戴し恐縮します。

丸山先生がここに書いてくださった「提案・交渉、行動の持続性、福祉への回帰、ベースのマネジメントは同じ視点、自組織に立ち返ったときにこの知見をどう活かすのか、実態把握能力」という視点は、再度振り返り、考え、今後に活かしていきたいと思います。ありがとうございました。

社会福祉法人鶯園 財務ハイライト

2026年10月
社会福祉法人 鶯園
理事長 小林 和彦

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