理事長ブログ

日本介護経営学会AI分科会設立記念講演会

4月25日の日本介護経営学会AI分科会設立記念講演会は、会場参加150人、Zoom参加100人と盛況な開催となりました。ご参加いただいた皆さんに担当理事の一人として感謝申し上げます。

当日のタイムテーブルは、以下の通りです。

介護・福祉・保育の世界ではなかなか聞くことのできない、先端AIの話は刺激的でした。

講演の中で、大阪大学 先導的学際研究機構 教授の栄(え)藤(とう) 稔氏から「チンパンジーには人は使いこなせない」というお話がありました。

現在は人間がナンバーワン、チンパンジーやオランウータンがその次に賢いと言われていますが、AIがナンバーワン、人間はナンバーツーになり、AIの知性が人間を上回ると、人間がAIの思考プロセスを追えなくなる「ブラックボックス化」が起き、最終的には適切な指示(問い)を出すこと自体が困難になる。これは知性の差により、チンパンジーが人間に複雑な指示を出せない関係性と同様という内容でした。

ニュアンスは分かりますが、頭の中は「???」でした。

もう一つは、「AIにはプラモデルが作れない」というお話です。AIによる作成などの「頭脳の進化」に対し、指先の微細な力加減を要するプラモデル製作などの「身体の進化(フィジカルAI)」は依然として難易度が高い課題だという話です。

このお話を聞いて思い出したのは、手術支援ロボット「ダヴィンチ」です。テレビで目にしたこともあるでしょうが、大型クラゲのようなロボットです。購入費約2億円、年間維持費約2千万円(消耗品を除く)と言われています。人の指先の微細な力加減を機械化すると現状ではあのような姿になるのでしょう。AIとともにフィジカルAIが進化し、ターミネーターのようなロボットが登場して介護現場を変えてくれるのは、まだまだ未来の話ですね。

介護現場の労働力不足が指摘されてかなり長い期間がたちますが、それを支えてくれるのはロボットではなく、外国人材になるでしょう。その際に、彼らとのコミュニケーションの改善にもAIは有効です。申し送りを母国語に変換して確認したり、書類作成を母国語で作成し、日本語に変換したりすることが可能になります。

これからはAIの知性を活用しながら、利用者やご家族、ともに働く職員たちとのコミュニケーションを豊かにする、そういう視点でAIとともに対人援助を行っていくことになります。

世の中のAIの進化は急速です。厚生労働省の中にもDXやICTの担当はおられますが、AIについては省としてどのように活用していくかという段階までには至っていません。今回開催するにあたり、香取 幹事務局長とは、「厚生労働省の皆さんとともに学べるレベルの会にしたい」と準備を進めてきました。

登壇者である老健局の林[YY1.1]審議官から省内に案内していただき、10人を超える厚労省の皆さんに自主的にご参加いただけたことに感謝申し上げるとともに、「ともに学べるレベル」の維持を努力する必要があると強く思っていいます。8月1日に予定している第2回AI分科会が、さらにレベルアップできるかどうかがポイントです。しっかり準備を進めていきたいと思います。

AIの現場実践は、まだまだスタートしたばかりです。
厚生労働省も前述のような状況です。(生意気言ってすいません、担当が多岐にわたり、超多忙なことは重々承知しています)そのため、AIについては私たちの現場の実践が先行し、それに制度がついてくるのでしょう。

AIによる効率化や生産性の向上を実践し、検証して広めていくことで介護・福祉・保育の業界に役立ち、社会に貢献できると信じています。業界団体からは、「報酬を上げてください」「もっと利益を上げさせてください」「こんなことをされたら困ります」という声ばかりが聞こえてきます。支援を求めるだけでなく、貢献できることこそが大切ではないでしょうか。

AI活用という社会に貢献できる仕事が目の前にあります。関わる人たちの実践が貢献につながり、社会や業界を変えられます。昔なら、変えられる可能性を秘めていますという表現をしたのでしょうが、AIの進化は目覚ましいので断定しています。

自分たちのやっていることが未来を拓くことにつながる、そんな実感の高い一日となりました。

ぜひ、日本介護経営学会にご加入いただき、ともに未来を拓いていきましょう。

最後になりましたが、ご準備いただいた役員の皆さん、事務局の株式会社やさしい手の皆さんに感謝申し上げます。

追記①
次回の第2回AI分科会は、8月1日にAmazon Web Services(AWS)の目黒オフィスをお借りして開催する予定です。
会場がAmazonさんのオフィスなので、AWSの介護・医療領域の専門家をお招きして、最新のテクノロジー動向についてお話しいただけないかなと、香取事務局長と話をしています。実現すると面白そうですね。介護・保育・福祉とAmazonのテクノロジー・・・

追記②
会場に参加された方と名刺交換をさせていただきましたが、理事長・施設長・事務長クラスの年配者の参加が相変わらず多かったようです。うちの法人は、現在取り組んでいるむすぼなAIを担当する30~40代の若い職員たちに参加してもらいました。一生懸命、現場で使いこなそうと頑張ってくれていることへのご褒美の意味もありますが、年配者ではなく、頭の柔軟な若い人たち、現場を知っている人にもっとたくさん参加いただきたいです。導入を決定するのは理事長かもしれないですが、使いこなし、未来を拓くのは彼らです。AI分科会が若い職員さんたちの活躍で益々発展する。そんな未来を描いています。

2026年5月
社会福祉法人 鶯園
理事長 小林 和彦

バックナンバーはこちら

ページTOP