理事長ブログ

出生数

2016年2月15日にインターネット上に投稿された「保育園落ちた日本死ね」がきっかけで待機児童問題が注目されてから、今年でもう10年なんですね。

この投稿の後、保育の受け皿は急速に整備され、待機児童の人数は最多だった2017年の10分の1以下になっています。2025年4月時点の保育所の待機児童数は2254人、8年連続減少して過去最少を更新し、およそ9割の自治体で待機児童が解消されています。

しかし、少子化が進む中で保育の受け皿をめぐる対応についての調査では、およそ7割の自治体は「人口は減少する見込みだが、検討していない」「検討しているが具体的な対応策は未定」と回答しています。

そして、これを書いている2026年6月3日。
厚生労働省は2025年の日本人の人口動態統計を公表しました。
昨年国内で生まれた子ども(出生数)は671,236人で、統計がある1899年以降の最少を10年連続で更新しました。国立社会保障・人口問題研究所の将来推計より15年ほど速く少子化が進んでいる状況です。

将来推計の修正が追い付いていないほど急激ということなのでしょうし、いつになったらこの現実をもとにした推計値に修正するのだろうと思ってしまいます。

出生数は1975年以降、減少傾向で、2016年に100万人を下回り、24年に初めて70万人を割りました。そして、25年は671,236人、前年比14,937人減です。

「保育園落ちた日本死ね」が投稿された2016年の出生数は、977,242人でした。
2025年の出生数は、671,236人ですから、約30万人の減、▲32%です。

出生数が97万人だった2016年から保育の受け皿は急ピッチで整備されたけれど、10年たってみると▲32%、この数字をどう捉えるかですね。

7割の自治体は「人口は減少する見込みだが、検討していない」「検討しているが具体的な対応策は未定」とのことですが、根拠はないですが、もう2~3年もすると、定員減で維持できなくなる保育の受け皿が増えてくるのでは・・・と危惧しています。

地方都市における出生数の減少を加速させている原因の一つは、「転出超過率」の問題です。

〇岡山県の転出超過率、若い世代で高まる

「人口減に拍車」「由々しき問題だと認識必要」日本政策投資銀行岡山事務所が警鐘

県外に転出した人が転入した人を上回る割合を示す「転出超過率」が岡山県の若い世代で高まっていることが分かりました。日本政策投資銀行岡山事務所が、総務省が公表しているデータを分析しました。それによりますと岡山県の20歳から24歳の女性の転出超過率は、2010年には0.85%でしたが、2024年は2.91%まで上がりました。同じ世代の男性についても2010年は1.20%でしたが2024年は2.80%まで上がりました。日本政策投資銀行岡山事務所は「由々しき問題だと認識する必要がある」と懸念を示しています。(2025年8月6日 KSB瀬戸内海放送のニュース)

これは岡山県の平均の話ですから、当法人の拠点施設がある中山間地域や本部のある津山市などはさらに厳しい状況が想像できます。

出生数が減っているうえに転出超過になっている、転出超過になっているから出生数が減っている・・・なのかもしれませんが、そういう状況です。

今後、自分のところの事業をどうしたらいいのかを考えるときに、一つの目安となるのは、財務省の公表した「私立大学250校削減案、財務省が2040年目標」です。

〇私立大学250校削減案、財務省が2040年目標…文科相「機械的判断ではなく分野や地域バランスが重要」4/30(木) 5:00配信 読売新聞オンライン

18歳人口と私立大学数

政府は、私立大学の統廃合や定員削減に向けた検討を加速している。少子化で私大の約半数が定員割れに陥っているためで、財務省は今月、2040年までに少なくとも250校、学部定員にして14万人程度を減らす必要があると、初めて数値目標を公表した。文部科学省も規模の適正化は不可避との考えを示しており、今後は分野や地域別の私大規模見直しが焦点となる。

今月23日に開かれた財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の分科会で、財務省は大学規模の縮減案を公表した。目標とした250校は、24年時点で624校ある私大の4割に相当する。政府は私学助成金を支出し、私大の運営を手助けしている。今年度は約3000億円が予算措置された。

18歳人口は1992年の205万人から減少に転じ、2024年時点で109万人。この間、政府の規制緩和もあり私大は増え、1992年の384校から1・6倍になった。日本私立学校振興・共済事業団の2025年度調査では、私大の53%が定員割れに陥る。

財務省は縮減案の説明資料で、定員割れした私大の講義内容の一例として「四則演算から始める。少し背伸びして微分などの理解」「(英語の)文型の基本とbe動詞の整理」などを挙げた。「義務教育で学ぶ内容の授業が行われている大学もある。助成金の支出に見合った教育の質が確保されているか疑問だ」(財務省関係者)として、大胆な規模縮減を主張する。

これに対し松本文科相は24日の閣議後記者会見で、「機械的に判断するのではなく、分野や地域のバランスを図ることが重要だ」と述べた。文科省は同日、財務省案への「見解ペーパー」をホームページで公開。地域の産業、医療・福祉、社会インフラを支える人材輩出機能を持つ大学の維持は必要だとした。

ただ、文科省も「私大縮減は避けられない」(幹部)と認める。文科省は、AI(人工知能)や半導体などの成長分野や地域の人材需要に応える大学を重点的に支援するなど補助金の交付にメリハリをつけることで、立ち行かなくなる大学に撤退を促す道筋を描く。

国立社会保障・人口問題研究所の推計では、18歳人口は35年に100万人を割り込み、40年には74万人まで減る。大学ジャーナリストの石渡嶺司氏は「財務省の『4割減』は決して荒唐無稽な数字ではない。一方で、労働人口が減っていく中で大学の人材育成力強化も必須だ。これからの時代に必要な私大とは何なのかを真剣に考える最後の機会だ」と指摘している。

この記事の中に出てくる大学ジャーナリストの石渡嶺司氏は以下のように補足しています。

記事中で筆者は「財務省の『4割減』は決して荒唐無稽な数字ではない」とコメントしており、この点について補足します。日本私立学校振興・共済事業団調査によりますと、2025年の定員割れの私立大は316校(53.2%)でした。このうち、50%未満は29校、80%未満まで合算すると141校でした。2025年に募集停止となった名古屋柳城女子大学の2024年入学定員充足率は70.0%でした。29日には愛知県の伝統私大・金城学院大学が名古屋学院大学と経営統合、2029年に共学化を検討する、と公表しました。当面は金城学院大学も残るとのことですが中長期的には統合する方が自然です。この金城学院大学の2025年入学定員充足率が70.5%でした。募集停止や統合などを考えれば250校は無理でも140校は減少する可能性が高いと言えます。こうした事情が背景にあるので「荒唐無稽な数字ではない」とコメントしました。

この記事を読むと、「削減目標とした250校は、24年時点で624校ある私大の4割に相当」「18歳人口は1992年の205万人から減少に転じ、2024年時点で109万人。この間、政府の規制緩和もあり私大は増え、1992年の384校から1・6倍になった」「国立社会保障・人口問題研究所の推計では、18歳人口は35年に100万人を割り込み、40年には74万人まで減る」「2040年までに少なくとも250校、学部定員にして14万人程度を減らす必要がある」とかなり踏み込んだ提言になっています。

現状の保育の受け皿の話と被ってみえるのは私だけでしょうか。
かたや保育の受け皿については、「7割の自治体は「人口は減少する見込みだが、検討していない」「検討しているが具体的な対応策は未定」」です。

この違いはなんなんでしょうね。
当たり前ですよね、0歳で生まれたての赤ちゃんも18年後には、大学に進学する年齢になるのですから。0~5歳までを受け持つ保育や3~5歳を受け持つ幼稚園、小学校、中学校、高校でも同じ課題が、それぞれもっと早い時期に起こってくるはずですが・・・

うちの保育拠点のある神戸市、明石市、宝塚市とう都市部であっても同じです。
「へーー、また日本の出生数は減ったのか」「削減って大学のことか」と他人事のように考えず、「7割の自治体は、人口は減少する見込みだが、検討していない、検討しているが具体的な対応策は未定」ですから、行政も頼りにならない・・・

本来は、行政も市民も事業者もみんなで考えないといけない問題ですが、神戸市と言っても広く、地域差が大きいのでまとめて検討とはならず、地域の状況に合わせて、それぞれの年齢を受け持つ事業者が真摯(しんし)にこの数字を受け止めて今後に考えていかなければならないと思っています。

追記

国立社会保障・人口問題研究所の推計では、18歳人口は35年に100万人を割り込み、40年には74万人まで減る。なので、2040年までに少なくとも250校、学部定員にして14万人程度を減らす必要がある、なんでしょうが、すでに2025年の出生数は671,236人であり、推計される未来ではなく、今、目の前にある現実になっています。

大雑把な数字ですが、日本の人口は、12300万人、岡山県の人口は、180万人、1.5%です。削減数を250とするなら、岡山県内では3.75校、140校としても2.1校が対象になるということですね。

この現実をどう捉えて、先を読んでいくのか、判断が難しいです。

2026年7月
社会福祉法人 鶯園
理事長 小林 和彦

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