理事長ブログ

兵庫県立大学大学院フィールドスタディ

長い名前ですが・・・
兵庫県立大学大学院経営専門職専攻の医療・介護マネジメントコースで、2016年からフィールドスタディを担当し、2017年からは兵庫県立大学大学院社会科学研究科の客員教授に就任させていただいております。

毎年のフィールドスタディの訪問先は4カ所です。
社会福祉法人恩賜財団福井県済生会病院、医療法人共和会小倉リハビリテーション病院、公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院という有名な法人の中で、訪問先に選んでいただき光栄に感じております。

私は、フィールドスタディは、現場の経験を学び、実践的なマネジメント力を養うことと思っています。「理論だけでなく、現場の経験を重視する。」です。

例年、10:30に集合し、JR六甲道駅周辺の園を見学、13:00から16:30まで講義というスケジュールです。

昨年10月12日は、小規模保育事業ちいさなCOCORO→認定こども園六甲道COCORO→琵琶COCORO保育園→石屋川COCORO保育園→ロングステージ御影(特養・GH・保育所)という見学コースでした。

医療・介護マネジメントコースの院生には医師や病院の管理職もおられますから、保育所の見学?と思われる方もおられるでしょうが、保育所の見学と考えず、社会福祉法人鶯園が行ってきた事業経過を確かめるためと捉えていただき、事業開始までの着眼や工夫、苦労、現在の課題など事業戦略をどう進めてきたのか、将来構想はどう考えているのかという視点で見ていただきたいとお伝えしています。

午後からの講義は、事前に院生には講義資料、決算書を読んできていただき、質疑応答形式で進めます。講義する私にとってはとても大きなプレッシャーを感じる時間です。
なぜか・・・というと、2024年度の院生は14人ですが、教授が7人随行(毎年です・・・)されており、その中には元厚生労働省年金局長、元雇用均等児童家庭局長、元アゼルバイジャン大使の香取 照幸教授、元老健局長の三浦 公嗣教授、私の師匠である小山秀夫 教授がおられ、見栄や建前、きれいごとで体裁を整えても通用しないからです。

フィールドスタディを担当して9年目になりますが、毎年違うネタを用意して臨みます。
院生は毎年変わりますが、教授陣に大きな入れ替わりはなく、資料に使う決算書からはその時々の課題が浮き彫りになりますし、質疑の中でも今一番の課題と考えていることをお伝えします。

昨年の講義の後、木下隆司教授から「小林さんの事業実践のリアリティが伝わる講義です。院生にはそれが大切なんです。」とお言葉をいただきました。

下につけている資料は、小山秀夫教授が毎月出されている「社会医療ニュース591号」からの転載です。先生は、「この方式の教育効果を正確に測定することは困難ですが、教員間では驚くべき効果あることがわかりました。第1に、同じ場所で、同じ教員が、同じ体験を、毎年行うことにより教員間の認識が共有されることです。第2に、これまでの訪問時にはなかった新しい課題を理解できることです。そして第3に、例えば直近5年間経営課題を動的に解釈できるという恩恵があります。」と書かれておられます。

木下先生からのお話で「リアリティ・・・?」と思いましたが、毎年、同じ教授が話を聞いているということは、私の立場からすると、「今年はこんなことを計画しています。」とお伝えすると、翌年の講義では、「その計画が、うまくいった、いかなかった、できた、できなかった、やらなかった。」・・・という結果を踏まえての話になりますから、それが受講する院生には、リアリティが伝わる講義なのだと思います。

このような講義の場をいただき、教授からも質問やアドバイスをいただけることで、今までの法人の事業の経過、課題の変遷を整理でき、さらに新しい課題の気付きがあります。
参加されている方から「赤字事業について、その原因と改善方法、今後の見通しはどうなっていますか?」という質問は毎回問われますから、決算分析も自分で行いますし、各事業の運営状況などの月次の幹部会議での報告も絶えず頭に入れておかなければならず、私自身のマネジメント力の育成にとって貴重な時間となっていることは間違いありません。

何人かの友人が毎年オブザーブ参加してくれますが、彼らも同様です。いつ会っても講義で話したことをベースに経営上の話ができますから、そういう意味でも有意義な時間です。

2025年は10年目の講義になります。
今年はどんな課題をお伝えし、どんな気付きがあるのでしょう・・・

◎フィールドスタディの意義
今年もまた9月下旬から兵庫県立大学大学院経営専門職専攻の医療・介護マネジメントの14年目の大学院生と教員7人が参加するフィールドスタディが開始されました。社会福祉法人恩賜財団福井県済生会病院、医療法人共和会小倉リハビリテーション病院、公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院 、社会福祉法人鶯園神戸事業所にお邪魔し、素晴らしいプレゼンテーションと真剣勝負のディスカッションをさせていただきました。
各施設の皆様には多大のご迷惑をおかけしていますが、大学院生は今後6カ月間をかけて各病院・施設の経営戦略を立案するという作業があります。経営学の履修方法のひとつとしてケース・スタディがあります。実際の企業や組織の事例を資料としてまとめ上げ、履修生はそのケースを事前に読み込み、集団討議を進めというもので、世界の経営大学院の大半がこの方法を採用しています。
事例を作成するにはそれなりの努力が必要ですが学習方法としてかなり有効です。しかし、日本の医療保険制度のように頻回に診療報酬制度が変更されると、2年前の事例すら時代遅れになってしまいます。つまり「リアリティ」が欠如すると、何が正答なのか判断できなくなる恐れがあります。
そこで考えたのが現地・現物・現在に直面するケース・スタディなのです。参加する大学院生には、事前に調べられることを全て調べておくように指示してはいますが、病院や社会福祉施設の経営課題を外形から調べ上げることは、ほぼ不可能です。そこで先方から提供されるプレゼン資料と限られた時間の質疑応答で正確な情報をかき集めることが求められます。
この方式の教育効果を正確に測定することは困難ですが、教員間では驚くべき効果あることがわかりました。第1に、同じ場所で、同じ教員が、同じ体験を、毎年行うことにより、教員間の認識が共有されることです。第2に、これまでの訪問時にはなかった新しい課題を理解できることです。そして第3に、例えば直近5年間経営課題を動的に解釈できるという恩恵があります。
別名「病院の定点観察」などと読んでますが、経営状況の変化をリアルに把握できますし、経営問題解決のための方策について教員間でディスカッションすることも可能です。わたしは年間2回以上訪問している病院がいくつかありますが、3カ月前には予想すらしていない問題が発生していることが多く、定点観察は有効だと思います。

2025年3月11日
社会福祉法人 鶯園
理事長 小林 和彦

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