7月29日 兵庫県立大学大学院のMBA第34回医療・介護マネジメントセミナー、「日本の社会福祉事業の今後」にシンポジストとして登壇する機会をいただきました。
その中で呉秀三先生についてのご紹介をさせていただきました。
社会福祉法人鶯園のある津山市には津山洋学資料館という幕末の蘭学者、津山藩の箕作阮甫等の資料を展示する資料館があります。
箕作阮甫は、蘭方医を始め、語学、西洋史、兵学、宗教学など広範囲にわたり洋学を修め多方面で活躍。江戸幕府が設立した蕃書調所の主席教授を務め、お玉ヶ池種痘所の設立にも尽力し、現在の東京大学の基礎を造り、ペリー来航時にはアメリカ大統領国書の翻訳を行ったなどの功績があります。
箕作阮甫の子孫についての説明もあり、その中には長女の息子である呉秀三先生もおられます。情けないことに、小山秀夫先生から日本の精神科医療の父だと教えていただくまで、私は呉秀三先生について知りませんでした。
呉秀三先生は、こうおっしゃっています、
「わが邦十何万の精神病者は実にこの病を受けたるの不幸の他に、この邦に生まれたるの不幸を重ぬるものというべし」
本邦にはふたつの不幸がある、ひとつは、病を得たこと、もうひとつは、本邦に生まれたことである。
私は、地域共生社会の実現に向けた包括的支援体制における障害者支援の問題は、拠点施設をもつ地域ともたない地域の偏在の問題が大きいと考えてきました。
身近でサービスを受けられる介護や保育と違い、障害者福祉は広域です。
ある程度の規模の拠点施設を育ててこなかった地域と育ててきた地域では、人材の集積、育成、組織力という専門性に大きな差が出ています。
病は得たけれども、この地域にはうちの法人があってよかったと思っていただけるような法人でありたい。
「わが邦十何万の精神病者は実にこの病を受けたるの不幸の他に、この邦に生まれたるの不幸を重ぬるものというべし」
この言葉を法人としては大事にしていきたいと考えております
2023年9月
社会福祉法人 鶯園
理事長 小林 和彦