このゴールデンウィークは、4月末に昼神温泉に花桃を見に行ったので、どこにも行かず、事務所でじっくり考えないといけないことに時間を使ったり、ゆっくり本を読んだりして過ごしました。
最近、みんな、本を読まないんですね、、、
全国学校図書館協議会が毎年行っている「学校読書調査」によりますと、全国の小学4年生から6年生、それに中学生と高校生の1か月に読んだ本の冊数は、2023年6月の調査では▼小学生の平均は12.6冊で、10年前の2013年の10.1冊と比べると2冊余り増えていて増加傾向にあります。
また▼中学生は平均5.5冊で、10年前の4.1冊から1冊余り増えていて、1954年に調査を開始してから最も多くなりました。
一方で文化庁の調査では大人の読書離れが浮き彫りとなりました。文化庁は5年に1回、読書の習慣について調べていて、2024年1月から3月にかけて全国の16歳以上の6,000人に調査し、3,559人から回答を得ました。
この中で、1か月に読む電子書籍を含む本の数を尋ねたところ、1冊も「読まない」と答えた人の割合は62.6%にのぼりました。
(2024年9月19日NHK首都圏ナビもっとニュースより)
昔々、まだ20代だった頃、読書が趣味と話したら、友人から「読書は教養を身に付けるために人として当然すべきことだから趣味と言ってはいけません、、、」と言われたことがあります。それからは趣味と言わず、「本を読むのが好き」と言うようにしています
でも、読まない人が増えたということは、ネットで知識や教養が身に付くと思う人が増えているんでしょうか。読書とネットの違いは、向き合い方なんでしょうね、次々に情報にアクセスできるネットと1冊の本とじっくり向き合う読書・・・。
ネットのおかげで常にいろんな情報にアクセスできるようになりましたが、その一方で表面的な浅い情報しか摂取できていない状態に陥りやすいと指摘されています。知りたいことが簡単に手に入るネットは非常に便利ですが、そのデメリットも心に留めておき、あえて本と向き合う時間を増やすことが人生を豊かにすることにつながるかもしれません。
先日から法人では「むすぼなAI」の取り組みをはじめていますが、会議録の作成、レポートの要約など、AIの要約機能はすごいと感心させられています。ただし、本はあらすじだけを知って、読んだ気になるものではないので、逆にアナログの読書の大切さにあらためて気づいたりもできています。
また、最近のSNSへの反応や右往左往する人がいるのを見ると、やはり本を読むのは大切なことと思ってしまいます。
時には長編小説にチャレンジしてみてはどうでしょうか。
宮本 輝さんは大好きな作家です。
代表作となる『流転の海』は、1984年に第1部を発表して連載開始。2018年の第9部の完結まで36年に及ぶ自伝的大河小説です。
この本と出会ったとき私は25歳でした、途中で主人公の年齢に追いつくという経験もさせていただきました。
自身の父をモデルとした松坂 熊吾の半生が描かれていて、たくさんの経営者、起業と失敗の話でもあります。
宮本 輝さんは、36年間この作品と向き合ってこられた、読者もまた同じです。
長編小説の醍醐味ですね。
本と向き合い、作家と向き合い、主人公と向き合う。
そして、本を通じて、自分と向き合う、です・・・。
追記
ゴールデンウィークに読んだのは、今村 翔吾さんの「人よ、花よ」。楠木 正成の息子、楠木 正行の話・・・、楠木 正成の話はよく知られていますが、息子の正行の話はあまり知られておらず、読み応えがありました。
今村 翔吾さんは、近頃お気に入りの作家です。
一番のお勧めは「八本目の槍」ですね・・・
もう1冊は、池井戸 潤さんの「BT‘63」。
過去へのトリップ、恋愛、窃盗、殺人描写あり。
池井戸さんの半沢シリーズや下町ロケットなどのような作品と思って読み始めると驚くかも・・・、読み応えはあります、よかったです。
もう1冊は、今年の1月30日に文藝春秋社から発刊された、宮本 輝さんの「潮音」。まだ、読みはじめたところです。
全4巻、江戸時代の終わり、黒船来航の頃から明治の西南戦争あたりまでの小説です。宮本 輝さんの作品で歴史小説は記憶にないので、どんな展開なんだろう・・・、この小説を通して何を伝えたいのだろう・・と思いながらじっくり向き合っているところです。
宮本 輝さんの本に興味のある方に、最初のお勧めは「森の中の海」「草原の椅子」でしょうか。どちらも気に入りの作品です。
2025年5月22日
社会福祉法人 鶯園
理事長 小林 和彦