理事長ブログ

母の壁と子ども罰をもたらすもの

2024年5月18日 甲南大学マネジメント創造学部 前田正子教授をお招きし、「母の壁と子ども罰をもたらすもの」のご講演をいただきました。

兵庫県下で保育所・認定こども園12園、小規模保育事業8園を運営させていただいておりますが、コロナ以降、園長・主任・管理者がそろって研修を行う機会が取れなかったので、同じ講演を聴き、意見交換を行い、日頃ゆっくり話をする機会が少ない主任・管理者とも気楽に真面目に話ができたいい時間となりました。
また当法人関係者だけではなく、友人の法人からも参加もいただき、刺激のある1日となりました。

前田教授は松下政経塾の第3期生、現在は甲南大学マネジメント創造学部教授をお勤めですが、横浜市副市長として行政経験もあり、社会保障と税の一体改革集中検討会議委員、兵庫県こども子育て会議委員、関西広域連合女性活躍フォーラム座長、少子化社会対策大綱の推進に関する検討会委員、社会保障審議会委員・社会保障審議会児童部会部会長など、家族政策、少子化政策分野で政府や自治体の会議にも多く参画されておられます。
また、ご自身働く母親として子育てと職業生活の両立でご苦労された経験もお持ちです。

今回ご講演いただいた「母の壁と子ども罰」は聞きなれない言葉ですが、
「日本の母親には、保育制度、家庭事情、職場環境という三つの壁がある。」
「日本に限らず、どの国でも母親になることで、その女性の収入を減らしてしまうことを「子ども罰(チャイルド・ペナルティ)」と呼ぶ。妊娠・出産をきっかけに仕事を辞めたり、育児のために働く時間を減らしたりするからだ。そして、収入の減少は、主に子育ての負担を母親にもたらされることから、母親になることの罰(母の罰、マザーフッド・ペナルティ)とほぼ同じとみなされる。」(前田教授著「母の壁」より)
と話されておられます。

私は、保育所には国民の所得保障を担う役割があると考えてきました。
母の壁と子ども罰は、保育所だけで解決できる問題ではありませんが、保育に関わる者としてその役割の重要さを意識させられる1日となりました。

今回ご講演をお願いするにあたり、前田教授から参考文献として教授の最近著のご紹介をいただきました。
先ほど引用した「母の壁」(岩波書店)です。ご関心のある方はご購読ください。

2024年6月
社会福祉法人 鶯園
理事長 小林 和彦

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